大爆発焦げ男の偏屈音楽講評

音楽を愛してやまない一般大学生である私大爆発焦げ男が、いわゆる「売れてるアーティスト」の皆様を好き勝手に批評し、売れている現状に見合う実力を持っているのかを考えていきます。謙虚に頑張ります。ご批判ください。

偏屈音楽講評①RADWIMPS

こんにちは、大爆発焦げ男と申します。


今回めでたく第一回を迎えた「偏屈音楽講評」へようこそ。前回投稿させていただいた記事にこの企画の趣旨が書いてありますので、まだ読んでいない方はまずそちらの方をお読み頂けると嬉しいです。


さて、記念すべき第一回に扱わせて頂くアーティストは、RADWIMPS様です。


言わずもがな、日本を代表するロックバンドであるRADWIMPS様。今更真面目に評価などする必要もありませんが、この企画の趣旨が「売れているアーティストがその状況に見合う実力を持っているのか」を考えていくものですので、ツッコミたくなる気持ちは暫しの間抑えて頂けますと幸いです。


ではまず、RADWIMPS様が現在に至るまでの道のりを簡単に調べてみましたので、短くまとめようと思います。


RADWIMPSは、桑原さん(現Gt.)が野田さん(現Gt./Vo.)の弾いたギターに惚れ込み、バンドに誘ったことがきっかとなり結成されたそうです(当時2人は高校生)。2002年に出場したYOKOHAMA HIGHSCHOOL MUSIC FESTIVAL 2002にて「もしも」がグランプリを獲得した事を皮切りに、バンドは順調に成長を続けます。2005年に東芝EMIからメジャーデビュー。翌年にはメジャーとして初のアルバムをリリースしています。2011年にはNHKサッカー中継のテーマソングに起用されたり、2016年には、今や誰もが口ずさめる大ヒット曲「前前前世」を含む、映画「君の名は。」のサウンドトラック作成など、多岐に渡る活動を見せています。


素人目に見ても、非常にスムーズな流れでバンドが成長していったのがわかりますね。途中ドラムのメンバーの方が休養に入るなど、大きなハプニングもありますが、それはまた後の記事に書くこととします。経歴や売れるまでの道筋は非常に簡単にですがまとめましたので、次は曲の内容に触れていこうと思います。


RADWIMPSの楽曲に見られる特徴としてまず最初に挙げておきたいのは「詩のパンチライン」です。皆さんパンチラインって知ってます?ジョークで言うところのオチ、ラップで言うところの印象的なフレーズ・言い回し。千鳥で言うところの「クセが強い!」ですね。僕は「赤じゃあ!」っていうツッコみが一番好きです。話を戻します。


楽曲のコード進行やサウンド、メロディー、リズムにフューチャーするのも良いですが、個人的にはほぼ全ての曲の作詞作曲を行っている野田洋次郎さんの書く詩の強さが、RADWIMPSのバンドらしさを作っているのではないかと思います。下に簡単に有名なフレーズをいくつか書きだしてみます。


「誰も端っこで泣かないようにと 君は地球を丸くしたんだろう?」(有心論


「隣にいたらこの尊さも失ってしまうなら いっそ僕はこの距離と君と三人でいいよ」(遠恋)


「今世紀最大の突然変異ってくらいにお前は美しい」(ふたりごと


...凄くない?


もちろん歌詞というのは前後の繋がりがあって初めて本当に伝えたい一文に重みが出てくるものだと思うんですが、RADWIMPSの歌詞には、そういうのを差し引きにしても響いてしまうような言葉の力があります。多分野田洋次郎がラップのフリースタイルバトルとか出たらめちゃくちゃ強いんじゃないですかね。パンチライン的に。


少し間違えれば屁理屈や冗談になってしまいそうなユニークさ、発想・感受性の豊かさと、それを印象的で聴いている人に感動や共感を与えるものに言語化できるセンスとバランス感覚から来る歌詞世界は、まさにRADWIMPS特有のものと言えます。だってどんだけ生きてても「前前前世」なんて言葉出てこないでしょ。なんだその突飛な発想。でもキャッチーだしインパクトもあって馴染みやすい。野田洋次郎すごい。ゴイゴイスー。スーを差し上げます。


歌詞がRADWIMPSの音楽を形成する大事な要素というのは分かりましたが、サウンドや演奏技術の面ではどうなのでしょう。


ていうか、プロで活躍してるレベルのミュージシャンとなれば演奏力が高いのなんて当たり前で、飛びぬけて上手い人じゃない限りはもう好みの話だと思うんです(そんな事言ったらおしまいなんだけど事実だし許して)。この話は僕が大学のバンドサークルでそこそこ弾ける方、またはメロコア・青春パンクバンドのサポートで活動してる人間だということを踏まえて読んで頂けると幸いです。元々この記事は普通の大学生が判定するっていう趣旨なので、、、


まずパッと聴いたときに印象的に感じるのはギターのサウンドだと思うんです。「おしゃかしゃま」とか「会心の一撃」とか聴いてみるとギターずっと動いてんな~って感じしません?(会心の一撃は弦切れないか心配になってくるよね)リードギターがこういうフレーズ弾くのはまぁそういう仕事なので分かるんですが、バッキングも普通に動きまくるのでよく歌えんなって思います。野田洋次郎すげー。


もちろんリードギターの桑原彰さんも素晴らしい実力の持ち主です。結局楽曲の第一印象を決めるのって結局ボーカルのメロディーとリードギターのフレーズですからね(個人差あります。これは完全に偏見)。フジファブリックの「夜明けのBEAT」然り、作曲者の作ってきた曲をたった一つのフレーズでグッと印象深いものに変えられるリードギターのお仕事は非常に大事な要素ですが、それだけセンスが問われるものでもあります。RADWIMPSの長きにわたる活動を持ち前のスキルとセンスで支え続けてきた事が何よりの実力の証明なのではないでしょうか。


あとはリズム隊ですね。

 

リズム隊というのは簡単に言えばドラムとベース。楽曲のリズムの部分を担う人たちのお仕事です。上記のような上物(ギターとかキーボードのことを指します)が自由に、というか際立って鳴らしていても曲がショボくなったり浮いて聞こえたりしないのはリズム隊の力あってのものなので、上物の上手さと比例してリズム隊の実力も確かなものだと思います。きっとね。


ベースの武田祐介さんは、もちろんベーススキルがあるのは当然ですが、特に「スラップ奏法」を好んで扱うベーシストという印象があります。この記事を書くに当たっていくつかライブ映像も拝見させていただいたのですが、個人的に頭に残っているのはおしゃかしゃまの間奏部分で行っていたギター、ベース、ドラムそれぞれのソロの映像です。そこでギターとドラムは交互にソロを弾くのですが、武田さんは一貫してスラップでの演奏を行っていました。

 

スラップ奏法は近年の邦ロック界隈で特に注目され、多くのミュージシャンが楽曲に取り入れている奏法です。日本だとRIZEDragonAsh等で活躍するKenKenさんが有名ですかね。MIYAVIさんというギターのスラップを行う方もいらっしゃいます。


こんな事を言うのはどうかとも思いますが、単純なスラップ奏法の技術ですと他にももっと上手い方はいらっしゃいます(いやもちろんめっっっちゃ上手いんだけどね???)。ですが、スラップが上手いからと言って誰もが「良いベーシスト」になれるわけではないですし、むしろスラップは全くやらないけどめちゃくちゃ良いベーシストっていう方は山ほどいらっしゃいますから、そこはさほど気にするポイントではありません(筆者がベーシストなので長くなっちゃうねごめんなさい)。

 

武田さんのベースは派手さもありますが、それよりも楽曲を確実に支え、適宜派手な奏法を使って楽曲にワンポイントを足していくようなスタイルのベーシストなのではないかと感じました。めちゃくちゃ良いですよね。芸人に例えるならば、ずんの飯尾さんですね。平場のひな壇でガヤもそつなくこなすし、見せ場を振られたら確実に一笑い獲るみたいな。そんな感じです。多分。一番いいなぁ。一番いい。


ではそんなベースとコンビを組むドラムはどうでしょう?現在RADWIMPSの正式なドラマーである山口智史さんは現在療養中との事で、二人のサポートのメンバーが加入してライブ活動を行っています。なんか違和感ありません?なんで二人なん?って思いません?思いますよね。思ってくれ。


まず一人目のサポートメンバーである森瑞希さん。この方は元々RADWIMPSのファンの方だったそうで、山口さんのいない間にバンドを支えるメンバーを探すオーディションで見事合格しサポートメンバーとなったそうです。当時既にRADWIMPSは大人気バンドでしたから、応募の数も相当なものであったはずです。その猛者達の中から選ばれたんですから演奏技術に関しては文句ないでしょう。ちなみにファンの方からは「ミッキー」と呼ばれているらしいですね。三流まとめサイトみたいな情報しかなくて申し訳ないです。


もう一人のサポートメンバーである刄田綴色さんは、椎名林檎率いる伝説的バンド東京事変のメンバーでもあります(事変は筆者がこの世で最も敬愛しているバンドなのでこれを書かないわけにはいかない)。2015年11月のライブツアーからバンドにサポートメンバーとして参加しています。演奏技術に関してはもう語ることはないですね。現在は東京事変の復活に伴ってRADWIMPSのサポートを休止しています。刄田さんの代わりにエノ マサフミさんという方が当面の間二人目のサポートメンバーとして加入されるようです。


ドラムのお二人に関しても、ベースの時と同じようにおしゃかしゃまのライブ映像を見て頂けると分かりやすいのかな、と思います。映像を見る限り、森さんのドラムは非常に基礎がしっかりしているな、という印象です。観客が盛り上がりやすく(変則的な技術よりもリスナーに寄り添う優しさを感じます)他の楽器と合わせたときも非常に聴きやすい良いドラムを叩くなぁ、と思いました。

 

一方の刄田さんは森さんに比べてややトリッキーな印象を受けました。サウンドが全体的にパーカッションっぽくなっていたり、手でスネアを叩くシーンがあったりと、非常に自由でユニークな発想が特徴的で、観客が演奏をパフォーマンスとして楽しめる工夫がされていたように感じます。

 

二人ともタイプの違うスタイルのソロを見せてくれていて、これはもっと長尺でやっても全然飽きないだろうな~って気がしますね(あんな激長ソロ、曲の間奏にやられたら素人はスタミナ尽きます。あれ含めて2時間くらいライブやっちゃうプロのミュージシャンってすげぇ)。同じタイプのドラマーは2人もいらないと思いますし、このソロパートを見せられると確かにステージに2台ドラムセットが必要なんだろうな、と思いますね。


そこそこの文量になっておりますがいかがでしょうか。いろいろ書いて来ましたがこの講評がどれだけいい線突いてるのかはわかりません。もうすぐ終わりますのでもう少々お待ちください。


では、楽器隊の実力は申し分ないと分かったところで、最後にボーカルの声ですね。
なんだかんだボーカルの声を核に音楽を聴いている方って多いんじゃないでしょうか。曲の第一声でそのアーティストの第一印象が決まると言っても過言ではないですし、好みの声じゃなかったと分かった途端に曲の再生を止めてしまう方も中にはいらっしゃるでしょう。


クセのある声といえば、個人的に一番最初に思い浮かぶのはクリープハイプ尾崎世界観さんなんですよね。最近だとBiSHのアイナ・ジ・エンドさんや、マイナーなところで言うとGEZANのマヒトゥー・ザ・ピーポーさん等(〇〇・○○・○○っていう珍しい形式の名前が2人並んでしまったのは単なる偶然です。他意はない)。


歌声のクセは好みの分かれるところですから、あまり大衆に馴染まないような声だと、それだけでリスナーの数が伸びない要因になってしまう事もあります。しかし筆者としては歌声にはクセがあった方がいいんじゃないかと思っております。業界に一つしかない声を持っているというのは非常に大きな武器になりますからね。声一つでアイデンティティーを確保できるのはめちゃくちゃ大きいです。生まれ持った才能ってズルいね。
では今回フューチャーしているRADWIMPSのボーカル、野田洋次郎さんの声はどうなんでしょうか。


結論から言うと、「そんなに目立ったクセがあるわけじゃないし、業界の中で飛びぬけた歌唱力があるってわけでもないけど、パッと聴いて『野田洋次郎』だって分かるし、大衆にも馴染みやすい。個性と大衆性のバランスが絶妙にとれている声」だなぁ、と思っております。


ぶっちゃけ言うと歌唱力なんてそんなに必要ないんですよ。もちろんジャンルにもよりますけど。彼らがやっているのはジャンル的には一応ロックですし、そんなに飛びぬけた歌唱力が必要なジャンルではありません。あった方がいいけど、それよりもどちらかといえば個性の方が大切です。


野田さんはもちろん歌上手いですよ?僕の5,000兆倍は上手いです。でも上手さだけでいえばもっと上の人なんか腐るほどいます。歌が上手いってのは最早個性にはなりません。カラオケ番組見てると同じような声、同じような歌い方をしてる少年少女がたくさん出てくるでしょ。でもいくら上手くても彼らが音楽的な成功を収めるケースはほとんどない訳です(もちろん歌が上手いというのはお墨付きですから本気でプロデュースすれば飯は食える程度なら稼げます。多分ね)。


その点野田さんの声は「個性と大衆性」のバランスがすごく良く取れてるな、と思います。ハイトーンでどこか柔らかさを感じるような特徴的な声質と、各所で見られる語りかけるような優しい歌唱法。一度曲を聴けば、別の知らない曲を聴いても「知らない曲だけどこれも野田洋次郎が歌っている。」と一発でわかるようになるはずです。多分。
そんな声であんな曲を作られたら、そりゃ売れるでしょ。


演奏やライブでのパフォーマンスにも文句はありません。売れますこれは。どうあがいても。

 

 

はい、それでは今回の結論です。もうやる前から分かっていた事実ではありますが、RADWIMPSはこれだけ売れるだけの実力と才能を十二分に持ち合わせています。間違いなく。そりゃそうでしょって話なんですけどね。ちゃんとアーティストが作詞、作曲、編曲をやってるところはそもそもそんなに粗探ししても目立つ欠点なんか無いんですよ。しょうがない事ですこれは。はい。

 

 

さて、結論も出たところでそろそろ初回の偏屈音楽講評を終わらせて頂きたいと思うのですが、皆様いかがだったでしょうか?


理論的な部分は未だ勉強中の未熟者ですし、時間の都合上そのアーティストをとことん深堀りするのも難しいですから、たくさんのご指摘があって当然だと考えております。皆様からの御批判も真摯に受け止め努力していきたいと思っておりますのでご意見がありましたらどうぞよろしくお願いいたします(でもあまりに辛辣な言葉遣いだと傷付きます。人間ですので。ご配慮いただけたら非常に嬉しいです)。


加えて、暇だし2~3日に一本くらいのペースで記事書けるだろ!と思っていたのですが、思ったよりも大変な作業でしたので、次回からは基本的に隔週での更新とさせて頂きたいと思います、、、すみません!筆者にも生活があります!


言いたいことは言い終えましたので、今回の記事は以上となります。最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

 

次回は浜崎あゆみ様について講評を行わせていただきたいと思っています。よろしければ次回もぜひ読んで頂けると嬉しいです。

 

この記事はNoteでも無料公開しています。お暇でしたらそちらもぜひ。


※こんな長々と生意気な口きいてすみませんでした。RADWIMPS様、並びにそのファンの皆様にお詫び申し上げます。これからの益々のご活躍を『一ファンとして』願っております。(2020/05/11)